もえぎのhtnb

萌えぎのエレンのメインブログです

ログナーの新設定についてのメモ

F・U・ログナー

ファイブスター物語の登場人物で、最強の騎士とされる。基本的な設定は以下のリンクを参照のこと。

最近になって新たな設定が公開されたログナーについて、今、書けることは少ない。
ログナーはファイブスター物語の単行本1巻から登場(星団暦2988年)。主人公である天照帝の個人騎士団であるミラージュ騎士団のメンバーで、最強の騎士。物語で唯一のクローン人間。最終到達地となる星団暦7777年まで天照帝に付き合う。連載当初これだけだった設定は、物語が進むにつれて増えていった。剣聖ディモス・ハイアラキが登場したときにファティマガーランドのバランシェは、剣聖と同等に戦えるのはログナーと天照帝だけだと言っていた。この時点で、最強クラスの騎士はこの三人だけだった。なお、連載当初は、剣聖や、星団暦以前のAD世紀やその時代を支配していた超帝國、その皇帝である炎の女皇帝ナインの設定は無かった。

ファイブスター物語の作品集デザインズ1(2005年発売)に、ログナーの本名はカラミティ・ゴーダース星団皇帝とある。物語の舞台となるジョーカー太陽星団にはカラミティ・ゴーダースという惑星があるのだが、ログナーはその惑星の皇帝だったのだろうか。もしそうであれば、それはいつ頃のことなのか。ログナーはナインよりも前から存在しているらしい。そしてデザインズ1には、彼はモナーク・セイクレッドの騎士だと書いてある。モナーク・セイクレッドとはAD世紀よりもはるか以前から存在している人類記憶装置と言われている。では、モナークの騎士とは、どういう意味なのか。
ログナーが炎の女皇帝よりも前から存在していたことは、これまでにも作者の永野護による解説文で何となく語られていた。
ここまでぼくが書いてきたことは作者による解説文にあるだけで、漫画のエピソードとして描かれたことはない。ファイブスター物語では漫画連載に先行して作者が数多くの設定を公開している。漫画本編のログナーはミラージュ騎士として活躍しているだけだ。しかし、ジョーカー太陽星団に伝わる太古のおとぎ話には、ログナーの母であるらしいアイエッタという人物が登場していた。
ログナーについての多くの謎は、漫画本編のエピソードとして描かれていない以上、はっきりとしないのだ。ところが、ラキシスと異界の者との戦いを描いたエピソード、ラキシス7444をきっかけに、ログナーにまつわる数々の謎を解くヒントが提示され始めた。

ここでは、最近の月刊ニュータイプでのファイブスター物語の連載、そして単行本や作品集の記述を追って、ログナー、そして密接に関連すると考えられる数式生命体や世界創世式について、時系列に振り返ってみる。

デザインズ1の時点でははっきりと書かれていないが、カラミティ・ゴーダース星団皇帝のコピー体の最後の一人が悪魔と戦って、死亡する。その直前に天照帝の母である命(ミコト)の判断でドウター・チップでのクローン化が実施されて現在のログナーの一人目となるのだという。なお、このエピソードは漫画連載では描かれておらず、作者の解説文では繰り返し書かれている。

デザインズ4(2014年3月10日発売)によると、太古から存在するスタント遊星の秘密をログナーは知っているのだという。これはデザインズ1に書かれていたことの続きだ。しかし、デザインズ4の時点でも秘密そのものについては書かれていない。また、ログナーとエストの記述「長期生存組」では、ドウター・チップで再生される以前のログナーを、カラミティ・ログナー・ラスト1と称している。天照帝が誕生した星団暦2020年に、とてつもない戦いがあり、ここで彼は戦死した。以降のログナーはドウター・チップで再生されたクローン人間だ。その後ミラージュ騎士団メンバーとなったのは三人目または四人目のログナーであるらしい。デザインズ5(2016年2月22日発売)。これまで明確でなかったログナーの謎について、ヒントが示された。「現在のログナーの先代」として描かれたのは、星団暦より前のAD世紀に炎の女皇帝の側近であったログナーだ。モナーク・セイクレッドが送り込んだ戦士であり、記憶はモナークが継承しているのだという。なお、このデザインズ5からログナーは騎士ではなく戦士と呼ばれる。
ログナーよりもさらに謎なのがモナーク・セイクレッドだ。人類記憶装置として人類が生み出したとされるのだが、これまでの多くの解説文を読むと、何らかの意志を持った存在であると受け取れる。とにかく、AD世紀の時代のログナーの記憶をバックアップする機能がモナークにあることは分かった。
デザインズ1にある「モナーク・セイクレッドの騎士」が何を意味するのか、おぼろげに見えてきたが、ログナーとモナークの関係がどうなっているのかは、まだ分からなかった。モナークは、何か意図があってログナーという戦士を準備していて、必要に応じて送り出す。その目的は不明。この時点では、その程度しか想像出来ないのだ。ログナーを送り出すのだからモナークとはさぞかし偉い奴なのだろう、などとぼくは考えていた。ファイブスター物語の単行本16巻に掲載された、ラキシスと異界の者たちとの戦いが描かれたエピソード、ラキシス7444では、驚きの発見があった。これまでの設定解説では全能神カレンが送り出したとされていた懐園剣は、実はカレンの親である天照帝が作ったものだった。また、カレン同様、未来からやってきた謎のファティマが、ファティマの子供となるFネーム・ファティマであることが公表された。そして、唐突に出てきた数式生命という言葉や、ラキシスがゴリリダルリハに言っていた「モナーク・セイクレッドの世界創世式」とは何なのか。ラキシス7444に登場しなかったログナーや彼のファティマ、イエッタとも関連があるらしい、それらの謎。現時点では良く分かっていないそれらのキーワード。
ラキシス7444エピソード連載中の月刊ニュータイプ2019年11月号。戦いの最中、覚醒した剣聖マドラが天から降りてきた懐園剣を受け取る。懐園剣そのものが覚えている戦闘の記憶のなかに数式生命アズデビュート大帝の名があった。ファイブスター物語で数式生命という言葉が出てきたのはこれが初めてだ。
月刊ニュータイプ2019年12月号。ゴリリダルリハに捉えられた時に、ショウメをかばうラキシスは「モンソロンの時代 アズデビュート数式生命帝が人々と星のため自らを式崩壊させ解を得た モナーク・セイクレッドの世界創世式」がゴリリダルリハの目的だと言った。世界創世式という言葉がここで初めて出た。ゴリリダルリハの狙いがショウメであることで、ショウメと世界創世式には何らかの関係があるのかもしれないと考えられるのだが、読者にとって全く意味不明だ。
月刊ニュータイプ2020年6月号。作業中にアシスタントと密になるので感染症対策のため漫画連載を休止。永野護一人で作成するDESIGNS(デザインズ)が掲載された。連載中のラキシス7444に関わる新設定の他、これまで未発表だった多くの設定が一挙に公開された。その中で、Fネーム・ファティマの設定が初公開されたのだが、数式生命との関連は(この時点では)全く書かれていない。DESIGNSは来月号に続く。
月刊ニュータイプ2020年7月号も連載ではなくDESIGNSが掲載。先月号の続きで、数々の新設定が、より詳細に解説され、Fネーム・ファティマがファティマの「子供」であることが公表された。先月同様、数式生命との関連については記述なし。また、ドウター・チップで再生される以前のログナーと思われる人物の記述もあり、その人物はハイペロン111と呼ばれた。
ラキシス7444エピソードが終了して一年後、それらが掲載される16巻が刊行される前。月刊ニュータイプ2021年9月号に掲載されたDESIGNSでは、Fネーム・ファティマが数式生命体であることが公表された。素粒子の運動記録から生み出されたのだと言う。母体がファティマであることも明記されている。だから「子供」なのだが、我々が考える子供とは異なる存在であるようだ。
ここまでの公開設定で、数式生命について分かったことは、意味不明だということ。だから、多くの読者は、そのことについて考えないようにしているように思われる。ぼくにもさっぱり分からない。

ラキシス7444エピソードが掲載されたファイブスター物語16巻が2021年10月8日に発売された。その巻末の解説に、ジョーカー太陽星団の全ての人類を記録し続ける記憶装置とされていたモナーク・セイクレッドの正体が数式生命体であると書かれていた。
デザインズ1には、モナークがクラウン銀河の中心に存在すると書かれていた。その存在が知られたのがいつなのかは不明だが、モナークには人類を含むジョーカー太陽星団についての秘密が隠されているらしい。それを知った星団の科学者は、モナークの謎を突き止めるために、無限の命を持つ、ファティマ・光のタイ・フォンを送り出した。月刊ニュータイプ2020年6月号のDESIGNSには、人類が生み出した最高峰の存在でジョーカー宇宙全てを見守り記録し続けていると書かれていたのだが、その記述は16巻で追記されることとなった。
16巻には、アスタローテがモナークが数式生命体であることを突き止めた、とある。アスタローテとはレディ・スペクターがミラージュ騎士となる前の名前だ。いつの時代かは不明だが、かつてナインと行動を共にしていた時期があり、モナークの調査を行っていた。

これまでぼくは、モナーク・セイクレッドとは、記憶装置と言うのだから物体であり、小惑星レベルの巨大なウェブサーバーのようなものだと考えていて、一方で、モナークには意志があると言う、作者による解説を何度となく読んでいた。
モナークが生命体であるとは、どういうことなのか?
ログナーについて「モナークが送り込んだ」という記述はこれまで何度となく読んでいた。だから、モナークには意志があり、単なる巨大な施設では無いことは何となく想像していた。人類の記憶装置であるモナークに意志が備わっているのは、その人類の記憶の総意のようなものなのか。ぼくはその程度のことだとばかり考えていた。
16巻のアスタローテの解説によると、空間エネルギーの運動記録から生まれたのがモナークだとある。この16巻の解説はFネーム・ファティマの解説に続いている。Fネーム・ファティマも数式生命体である可能性について書かれたもので、しかしそれはモナークとは関連が無いのだと言う。
なお、16巻にはログナーとモナークとの関連については書かれていない。

ラキシスが言っていた世界創世式という言葉が再び出てきたのは、浮遊城での出来事だ。月刊ニュータイプ2022年3月号。16巻でラキシス一行と戦ったゴリリダルリハが再び現れた。しかしラキシスはポーターによって当時の記憶を消されていて、かつてゴリリダルリハがショウメを狙ってラキシスと対峙したことを覚えていない。浮遊城に現れたゴリリダルリハは、あの時のラキシスの言葉に感銘を受けて、今後はラキシスの守護者となるのだと言う。人間ではない異界の者ゴリリダルリハの出現、この緊急事態で集結したスペクターやポーター、天照帝の母であるミコト、そしてログナー。
ログナーを見たゴリリダルリハが語っていたのがログナーについての秘密、正体であるらしい。ゴリリダルリハはログナーを「モナーク(機械神)」「20億年以上にわたる4度の時代の管理人」と呼んだ。そして、ログナーの側にいる素子姫を「世界創世式(4つの力)を内蔵した制御装置」と呼んだ。
古くからの読者であれば、素子姫とはログナーのファティマ、イエッタであることを知っている。
月刊ニュータイプ2022年4月号では、素子姫の解説が公表された。元々はモナーク・セイクレッドの制御装置として生み出された数式理論体で、4つの力を持つ。そして、連載の時点でログナーの側にいるイエッタは、数式理論体である彼女を、バランシェがファティマとして出現させたのだと。
全く、意味が分からない。それがぼくの感想だ。

これまで、ログナーはモナークが送り出した戦士だと解説されていた。ところが、ゴリリダルリハはログナーがモナークそのものだと言う。
ログナー=モナークとはどういうことなのか?
そして、素子姫がモナークの制御装置であり世界創世式を内蔵しているとは?

それらは恐らく発売予定のデザインズ7に書かれるのだろうが、作者が多忙のため制作が止まっているのだ。