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萌えぎのエレンのメインブログです

カレンは干渉する

 あの懐園剣ってやつは、敵味方関係なく、そのとき必要な人物のところに行くのだろう。ファイブスター物語では「互角の戦い」という不文律がある。そう感じた。センタイマのもとに懐園剣(雌剣)が来たのは、直後にマキシが出現して懐園剣(雄剣)を持つと分かっていたからなのだろうと、ぼくは感じた。互角となる戦いしか描かないのがファイブスター物語だ。
 以下、このブログは9月10日発売の月刊ニュータイプ2020年10月号に掲載されたファイブスター物語のネタバレを含みますので、よろしくです。

 上記ブログの続き。
 連載中のエピソード、ラキシス7444はいよいよ最終戦。マキシとセンタイマの決闘はマキシの勝利。だったはずなんですが、ぶった斬られたセンタイマは捨て台詞を残して異世界に帰ってしまいました。ええ、傷も治ってます。帰る前に彼は、手下が殺したマドラたちラキシスの下僕を元に戻していきました。天照帝がカイエンを元に戻したように。
 元々はラキシスを狙ってやって来たセンタイマ。だけど、マキシとセンタイマの決闘は「試合」のようなものだったのか。どうせ元に戻すのだった。滅ぼすつもりなんてなかった。始めからそのつもりで行われた「手合い」のようなものだったのだろうか。なんてことを考えていた。

 ところが、彼らが帰ってから、カレンがとんでもないことを言い始めた。

 ここで、カレンについて、これまでにぼくが覚えていることを並べてみる。
 星団暦7777年に誕生する、天照帝とラキシスの娘であるカレンは、全能神であり、時空を飛び越えて出現することが(作者の永野護によるデザインズなどでの解説文にて)知られている。かつては「超人類」とも称された*1全能神。天照帝がラキシスのために建造したロボット、マグナパレスをタイカ宇宙に持っていってしまう。一方で、物語本編に登場することが、これまでにほとんどなく、だから、ぼくにとっては、伝説上の存在でしかなかった。ファイブスター物語が年表通りに進んでいくとして、漫画連載でどこまで描けるのかが不明であり、年表の最後に書かれているカレンの活躍を見ることは無いだろうと、ぼくは考えていた。
 過去や未来のエピソードが予告なく割り込んでくるファイブスター物語だが、メインとなる物語は時系列に進んでいて、現時点では星団暦3037年。だから、7777年に誕生したカレンが、メインとなる物語に出てくるときは例外なく「飛び越えて」来ている。初めてカレンが物語に登場したのが、ファイブスター物語の主な舞台であるジョーカー太陽星団とは全く別のタイカ宇宙を含めた、時空を超えたエピソードである「五つの星の物語」だったので(しかもそのときのカレンは「顔出し」程度)、今回のラキシス7444が、カレンが本格的に物語に関わり出したエピソードなのだろう。
 カレンが時空を超えて出現することを作者は何度か予告していて、「五つの星の物語」以外でも、過去に、浮遊城でラキシスが危機に陥ったときに助けに来たこともあった。
 これまでの作者の解説文によると、全能神であるカレンは、過去(カレンが誕生した7777年より前)のジョーカー太陽星団に出現して、色々とやらかしている。親にも手に負えない、おてんば娘であるらしい。そもそも、天照帝とラキシス、あの二人の子であるのだから、普通じゃない、とんでもない人物であるらしいことは、何となく想像出来た。しかし、それは、想像でしかなかった。想像を上回ること。カレンが本格的に物語に出てくると、どういうことになるのか?

 モーターヘッドに飽きた作者が、登場するロボットをGTM(ゴティックメード)に変更した。このことについては以前ブログに書いた。

 今後、モーターヘッドファイブスター物語に出てくることは無い。ぼくはそう断言した。
 もはやファイブスター物語の世界は作者によってGTMに変えられたので、それは普遍となり、物語の登場人物がそのことに気づくことはない。ぼくはそう考えてきた。しかし…
 今月号のカレンの台詞によると、クラスファー*2とカレンが、ファイブスター物語の世界をモーターヘッドからGTMに変えてしまった。
 モーターヘッドをGTMに変えたことが、「ファイブスター物語の登場人物である」カレンによって語られたのだ!
 この「事実」を知るのは、そこに居たカレン、シルヴィス、マキシ。ジョーカー太陽星団の人類よりも上の、神々の世界の者たちだ。続けてカレンは、GTMに変更したはずなのにモーターヘッドのことを覚えている人物が一人いることを危惧しており、今回の騒動(ラキシス7444エピソードでの異世界との戦い)のついでに、それを修正してしまおうかと考えたが、シルヴィスやマキシに止められた。

 毎月アップされているファンのブログを読んでみると、みなさん、これまでの出来事をちゃんと覚えていらっしゃる。すごいなあと思いました。今月号でカレンが言っていた最重要発言について、それが誰を指すのか、ぼくはさっぱり分からなかったので、彼らのブログを是非ともご覧ください。

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 ところで、ファンの間では、以前から、GTMへの変更はカレンのいたずらだと繰り返されていた。すなわちそれは、ネタのようなものだった。ぼくはそう考えていた。

 いや、待てよ、それは本当のことか?

 ぼくが思い出したのは、デザインズ1にある、過去のミラージュマシンの型番(G型やH型など)をカレンが勝手に変更して、そのことを父親である天照帝に後からバレて怒られたという記述だ。しかしそれは、物語の台詞としては出てこなかったはずだし、これを知った当時ぼくは、それほど重要なことではないと思っていた。ミラージュマシンの件についてはデザインズ6にて再度解説され、そこでカレンの名は出ていなかったはずだから、デザインズ1の記述については、作者が、自分がやったことをカレンの仕業にするという、冗談だと思っていた。ところが今月号では、GTMへの設定変更そのものを「ファイブスター物語での出来事」としてカレン自身が言及した。
 GTMへの変更に伴って色々と不具合が発生してきて、その度に作者は新たな設定を追加、または改変してきた。カレンはそのことについて、それとなく言っただけ。そういう見方も出来るだろうか?
 GTMへの変更は、登場人物は知らないことであるはずだった。作者がやったことやその理由を漫画の登場人物が知るわけがない。ぼくはそう考えていた。しかし、作者や読者しか知らないはずの出来事を、ファイブスター物語の神々は知っていた。
 言い換えれば、登場人物には「秘密で」行われた、作者と読者しか知らないと考えられてきた、設定変更そのものを、物語のなかに引っ張り込んできたのだ。
 漫画として描かれたファイブスター物語が三次元の世界だとすれば、ぼくら読者は四次元の存在だ。作者は以前、そのようなことを言っていたような気がする。カレンの言葉を聞いて、そのことを思い出した。カレンはファイブスター物語の世界では高次元に位置するからだ。高次元にいるのであれば、作者や読者と同じ立場となるのだから。
 設定変更はファイブスター物語の登場人物は知らないことであるはず。しかし、それはぼくの勝手な思い込みだったのだ。そのことに、ぼくは驚いたんだ。
 今のぼくには、これ以上のことは考えられないし、何も書けない。

 カレンは、ファイブスター物語そのものに干渉する。

 あ、ここまでラキシスについて何も書いていませんでしたね。ラキシスは途中から寝てたんで仕方ないっす。連載中のラキシス7444は来月に完結するらしいので、何かあればと期待してます。


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当ブログ作者プロフィール

*1:初期のファイブスター物語年表ではカレンを「超人類」と記述していた

*2:ファイブスター物語における最高位存在アマテラス/天照帝との関連は不明/月刊ニュータイプ2020年6月号