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映画『花の詩女』ブルーレイはいつの日か #fss_jp

 2012年に公開された映画『花の詩女 ゴティックメード*1はブルーレイ等のパッケージメディアとしてリリースされない。この映画の監督である永野護は何度も言っている。未見の方に説明しておくが、この『花の詩女』とは永野の漫画『ファイブスター物語』(以下FSS)の劇場アニメ映画だ。永野の初監督作品となる。
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 パッケージメディアとして発売しない理由について永野は、とにかく劇場で見て欲しいからだと繰り返す。上記の記事が初めてではない。幸いにも、過去の映画の再上映を企画するドリパスのお陰で、この映画はこれまでに何度も上映されている。今月にも全国での上映が企画または決定されている。興味のある方は劇場でご覧頂きたい。詳細については以下を参照のこと。

 ドリパスの上映企画は、まず、上映館と日時が発表され、見たい者がチケットを予約。その予約が一定数を超えた時点で上映決定となる。これまでに何度も上映企画が成立しており、もう一度見たいという熱心なファンによって現在でも上映リクエストが行われている。だから決してこの映画は「コケた」訳ではない。にも関わらず、監督の永野は、この傑作をブルーレイとして売り出すつもりが全くないと言う。なお、FSSの最初の劇場アニメに永野は関わっていない。これには複雑な理由があり、ここでは割愛するが、この最初の映画はブルーレイとして発売されている。

 ここまでが前置き。今月発売の月刊ニュータイプに掲載されたFSSの1ページ目、扉には、今回のドリパス上映企画に関連して、『花の詩女』の音響や効果音についてのこだわりエピソードが書かれていた。ネタバレになるので詳しくは書かないが、ハリウッドレベルの緻密な仕事だったと永野は振り返っている。実際に劇場でこの映画を見たぼくは、なるほど、あの怒涛の音響はこうして出来上がったのだと驚いた。そして、以前からぼくが考えていた、ブルーレイとして出さないのなら、せめてドラマCD(まだビデオデッキが普及していない大昔にはアニメ作品の音声のみのレコードが発売されていた)で出して欲しいという願いも、叶うことはないのだろうと悟った。あの音は優れた劇場であってこそなのだろうと。
 そう言えば昔は効果音のレコードというものがあったと思うけど、今でもあるのだろうか? 『花の詩女』の効果音のみ収録したCDでもいいからリリースして欲しいとも思ったのだけれど。

あくまでも個人の感想ですが

 本音を言えば、『花の詩女』ブルーレイは是非とも出して欲しい。ぼくの考えだと、出さないのはリテイクしないと駄目だと永野が考えているからだと思っている。そのためにはスタッフを再結集しないといけないのだが、簡単には出来ない。当然、FSSの連載も止まるだろう。だから、それは次回作のFSS劇場アニメ映画制作まで待っているのだろうと。なお次回作は3159(年表に書かれている星団暦3159年のエピソード)だと思う。これはインタビュー等で永野がそれとなく発言していたからだけど、実際に映画を作るという話は、まだない。作りたいという願望はあるとのこと。
 FSS映画の次回作が3159、すなわちミラージュ騎士団によるアドラー星への武力侵攻となれば、間違いなく大規模なGTM戦闘となるので、作画が大変になることは明白だ。『花の詩女』のように永野ひとりでメカ作画をこなすという訳にはいかない(あの一連のシーンだけでも相当な手間と時間がかかったはず)。だから、あの映画は次回作制作のための宣伝にもなっているとぼくは考えている。こういう作画演出でやるから興味あるアニメーターは覚えておいてね! って。俺が描くロボットってのはこう動くんだぜ! こういう音が鳴るんだぜ! それは作者自身が映像にするまで全く分からなかった。だから、それを分かってくれ! また映画作るからさ! ってことだったんじゃないか。
 もしFSS映画の新作を作るとなれば、さすがに『花の詩女』ブルーレイを出せと角川から言われるだろうと思っている。今月のニュータイプを読んだとき永野がハリウッドという言葉を出してきたときにも感じたけれど、ハリウッド映画はパッケージ化することでの利益を前提として映画作るでしょ? どうして永野はそこだけ無視している? などと愚痴を書いても仕方ない。とにかく、映画を作るとなれば制作費の問題もあるので売れるパッケージは出して資金を得る。そのために、再度スタジオを組んだときに、まず『花の詩女』リテイク作業を行い、パッケージで出す。そして、そのスタジオで次回作の制作に入る。
 ぼくが『花の詩女』パッケージはリテイクありきとしているのは、これは直したほうがいいと思うカットがあった(これはあくまでも個人の感想であり、また、そのために作品のクオリティが下がってしまっているということはないと断言しておく)、だから直したいだろうと永野が考えているだろうと感じたからだ。そうでなくとも、あの作者ならリテイクしたいカットが絶対あるだろうとも想像している。だけど、リテイクなどしなくてもいいから出して欲しいというのが、本当のところだ。
 劇場での迫力や体験が100だとすれば、自宅のテレビで見ると、環境にもよるけど60~30程度に下がってしまうと思う。けれど、このまま永久に出さないってことは、さすがにないと思う。今ではドリパスがあるから、例えパッケージ化されたとしても上映は繰り返されると思うし、是非とも劇場で見たい映画だという感想は変わらない。
 それにしても、ここ数年の永野護の仕事の忙しさを見ると、次回作の映画はかなり先の話になると思う。なにせ連載を休まず(これまでのFSSは度々休載していた)、デザインズの新作の準備もある。カイゼリン立体モデルの発表、上記の記事は約一年前だが、この発売もいまだにアナウンスされていない。

追記

 後で追記する予定。ある程度書いたらツイッターで告知するつもり。
 永野護がブルーレイを出さないのは、自宅のテレビで見ただけで語って欲しくないという考えだと思う。あまり映画を見ないぼくでも、例えば『シン・ゴジラ』をテレビで見たときに、あの劇場で体験した感動が減衰されてしまったと感じた。ぼくがブルーレイとして出して欲しいと書いたのは、自宅で見たいということと、興味のない友人に貸して、見て欲しいという思いもある。しかし、劇場とは程遠い家庭用のテレビで見て、この程度かと思われてしまうかもしれない。それを永野が望まないという気持ちは、分かるつもりだ。
 多くの星団民*2は、それを分かっているから、ブルーレイで出さなくても構わないし、またドリパスにリクエストしよう。ちょっと遠くてもいいから劇場に見に行こう。そうなっている。ぼくのようにブルーレイを出してくれと言う奴は、あの映画の本質を分かっていない愚か者だということになる。

『花の詩女』公開当時の予告編動画

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過去に書いたFSSエッセイ個人誌

about

*1:公式ウェブ(http://gothicmade.com/) / 花の詩女 ゴティックメード - Wikipedia

*2:ファイブスター物語の世界、ジョーカー太陽星団で暮らす人民を指す言葉だが、FSSファンは自分たちをそう呼ぶ。